楽しい時間

この声だ、この顔だ、この匂いだ。

彼は変わっていなかった。
香水も一緒だったし、笑顔はやはり優しかった。
ドキドキはしたが、顔を見たら安心してしまった。
彼が選んだ店に行くことにした。
とてもおしゃれだった。
金曜日の夜なのでとても混んでいた。
席につくと何を話していいのか迷った。
とりあえず、写真を渡した。
何を話したんだろう、、、
あまりその時店でのことは覚えてない。
私が海外に行っていた時の話や
彼の転勤先での話などを話していたと思う。

彼は私を見てどう思ったのだろうか。
怖くて聞けなかった。

楽しい時間が過ぎ、2時間があっという間に過ぎた。
時間制だったので、出ることにした。
私はもう帰るのかな？と思った。
しかし、彼の口から次はこの店に行こうかと
提案された。
そのお店では色々なことを話せたと思う。
常に、私は男の人の基準が彼であったことや
本当に彼のことが好きだったということを。
あくまでも過去形にしたが。
ちょっとだけ、まだ好きなのかと思われたら
しゃくだなという気持ちがあった。
彼は彼女がいるわけだし。

話の節々に彼も私を大切に思ってきていた事が
感じ取られた。
その後付き合った彼女と私を比べてしまう時が
あったことも教えてくれた。
とてもうれしかった。
でも、彼はもう私のモノにはならないのだ。

彼に彼女の相談をされた。
彼女の行動を聞くと、彼のことを理解していないと
思った。
彼の性格を知っていたら絶対しないようなことを
彼女はしていたのだ。
彼は前にも言ってた様に極度の束縛魔なのだから。
そのことを伝えると、彼を本当に理解できるのは
私だけなのかもしれないねと彼は笑った。
そうだと思う。
かいかぶりではなく、難しくて、優しくて、
おもしろくて、頭の回転が早い彼を
理解してあげられるのは私だけなのだ。

そして私は恐ろしく記憶力が良かった。
2人で、あんなこと話したね、
あんな所にいったね、などと細かく話すと
彼はうれしそうに、笑っていた。
そう言う事を言われると怖くなる人もいるが、
彼は私が覚えていることにとても喜んでいた。

もう私の帰る時間が迫っていた。
そのことを伝えると、店をでることになった。
私としては彼と話せたし、笑えたので
とても充実した時間を過ごすことが出来た。

でもなにも前ぶりも無く、
今度遊園地巡りでもしようかと彼から言われた。
確かに私は遊園地好きでが。
それって次があるってこと？
私はうれしい反面ちょっと怖くなった。