再会

1週間生きた心地がしなかった。

あの時よりも太ったな。
あの時よりも女が落ちたな。
あの時よりも性格が悪くなったな。
などと思われたくなかった。
でも、まず太ったと思われたくなかった。
だからろくに食べられなかった。
物を食べようとするとため息をして
さぁ、食べるぞと意気込まなくてはならなかった。
朝は食べず、昼は一口ほど、夜になり、
ちょっとだけ食べるという具合だった。
時々、立ちくらみも起きた。
食べようと思っても食べられなくなった。

会う2日前ぐらいに彼から電話がきた。
しかし、気づいた時には遅く、出られなかった。
折り返そうかと思ったが、もし彼から
“今回会うのはやめよう”といわれるのが怖くて
電話することはできなかった。
その日は電話は無かった。
前日に彼から電話がまたきた。
すぐに出ることは可能だった。
しかし、留守電に変わるまで待ってしまい、
留守電のメッセージで“明日は何時にする？”
と言ったものだった時に安心して
通話ボタンを押すことが出来た。
なんて私は臆病なんだろう、、、

そして、彼と会う日は会社が引っ越しだった。
私は引越しして疲れた私を彼にどうしても
見せるのが嫌だった。
きれいだと思われたかった。
だから、その日は会社を休んだ。
引越しの日で大変だという事はわかっていたが、
私にとってもその日は大変な日だったのだ。
朝はのんびり起き、ゆっくりとお風呂に入り、
彼に会う為、待ち合わせの場所に向った。

学生の頃、私は付き合っている間ずっと
彼に会うまでの電車の時間はドキドキしていた。
たとえ毎日会ってたとしても、なぜか
彼と会えると考えるだけで胸が苦しくなったのだ。
彼と付き合いが終わるまで毎日続いた。
私は本当に彼が大好きだったのだ。

その日も当然の様に電車に乗っている間、
私の胸はドキドキしていた。
近くの駅になるとより一層なった。
私が待ち合わせの近くにいると彼から電話がきた。
“もう着くよ”と。
いよいよ、あんなに好きだった彼と会えるのだ、
そう考えるだけで幸せだった。
そして向こうから彼が走ってきた。

私の好きだった彼だった。